LNG需給、中国、アメリカ

今日はLNGの需給バランスについて独り言したいと思います。

NNAの記事によると2017年のオーストラリアからのLNGの輸出量が過去最高の57Mil Tonになったとのこと。 これは2016年の45Mil Tonに比べて約3割増の数字です。
この増加の主な役割を演じたのは中国向けの輸出で、2016年は13Mil Tonだったものが2017年には18Mil Tomに増えています。
オーストラリアにとって一番のLNGの輸出先は日本で26Mil Ton。
ただ、中国の増加ペースを考えると5年以内には日本を抜くかもしれません。

供給サイドをグローバルに見ると、現時点での世界のLNG供給量は約260 Mil Tonになっていますが、これに加えて2020年までに約100Mil Tonの生産増加が見込まれています。この増加部分で大きくプレゼンスを増やすのがアメリカであり10mMil Ton越えの3つのプロジェクト(Sabine Pass, Cameron, Freeport)を含めてトータル50Mil Ton以上のプロジェクトが控えています。
これに加えてカタールが、これから7年で100Mil Tonに生産量上げると公言していますが、これは政治的な駆け引きの側面が強く、ファイナンスがついているように思えません。

アメリカはこれまで石油、ガスのエネルギー安全保障の観点から中東の政治に介入してきましたが、シェール革命により石油が自国で賄えること、またガスで電気自動車を走らせることができるようになれば、今後はさらに中東への関与を控える方向性でしょう。

一方でLNGの需要については、一番の成長株は中国のようです。
(少し乱暴ですが)ざっくり中国のガス需要をLNGトン換算すると210Mil Ton。
これの1/3の70Mil Tonが輸入。
このうちの4割の30Mil TonがLNGの輸入に頼っています。

深刻な大気汚染から、石炭火力発電を減らすこと、また内燃機関で走る車の技術が遅れていることから「EV化」することも中国の国益に適っており、LNGの供給が安定していることは中国にとっては「追風」です。
上記LNG事情から、少なくともエネルギーの供給がこの国の経済発展を妨げることはなさそうなので、この国の経済発展を阻害するのは「人口減」、「不透明な金融システム」、「不安定な政治」あたりでしょうか。
この辺りに注目して中国の景気を見ながら投資手法を考えていくことが良いと思います。