新社会人へ(社会保険編⑥ 失業からあなたを守る雇用保険

雇用保険は主に

①労働者の雇用の継続が困難となった場合の経済的な支援

②労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合のサポート

③これら以外の失業の予防、雇用機会の増大に対するサポート

を実施するために作られた法律になります。

 

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雇用保険についても特定条件(一般論として「従業員5人未満」+「個人経営」+「農林水産業」)に該当する事業主以外は強制的に加入することとなっており、この点においても労働者は失業のリスクから一定限度は守られていることになります。(ここで言う「一定限度は」の意味するところは一定期間労働し雇用保険料を払っている場合には一定期間は失業しても所得が保障されると言う意味合いです。)

 

雇用保険料については労働者(従業員)の負担分も存在し、この点が労災保険と大きく異なる部分です。現時点での具体例で説明すると多くの事業において雇用保険料については1000分の9(すなわち0.9%)となっており、このうちの3分の1 (すなわち0.3%)が従業員負担分であり、この保険料率を賃金総額に乗ずることで計算します。
またこれらの保険料に加えて国庫負担(税金)で賄われる費用もあり、どれだけ国庫負担(税金)が投入されるかは、どのような給付内容(失業による所得補償なのか、高齢者の雇用継続のためなのか、教育のためなのか、など)によって負担率が変わってきます。ただし、ここで重要な事は雇用保険に関しても税金が投入されており、有効に活用すべきだと思います。

 

ざっくりと補償されている内容を記載すると以下のようになります。

+失業した場合の収入補償
雇用保険の1番の柱は失業したときに収入補償を得ることにあります。
この権利を獲得するためには離職する前の2年間のうち12ヶ月分の雇用保険料を支払っていることが原則になります。
ここで権利を得た人は公共職業安定所に1ヵ月に1回「失業認定」を受け、ここで認定されれば過去6ヶ月の給料の70%を90日〜150日の期間(勤続年数によって増減、10年未満の勤続年数であれば90日)として受け取ることができます。「この期間内に仕事を探して下さい」と、いうことなんでしょうね。

 

+教育訓練費用の補助
新社会人にとって上記の雇用保険よりも実際に役に立つと思われるのが「教育訓練費用の補助」ではないかと思いますので少し説明します。
ざっくり補助を受けることができる人の条件を述べると①その時に雇用保険に入っていること②厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了したこと③その時点で3年以上働いていること、そして前に受けた訓練から1年間空いていること、になります。
これらの条件を満たす人たちは「一般的な訓練(税理士、社労士、など
」で20%(上限10万円)、「専門的な訓練(看護、介護、調理師、美容師など)」で50%(上限120万円)の補助を受けることができます。

 

上記勘案して新社会人が覚えておくべきポイントを3つに纏めます。

 

+ポイント❶

雇用保険は労働者も費用負担しているが、会社負担、税金投入もあり有効に使うべき。

 

+ポイント❷

一番の効用は失業したさいの給付になるが、これは離職する前の2年間のうち12カ月間保険料を払っている必要がある。

 

+ポイント❸

教育訓練費用の補助もあり、失業しなくても通信教育などの費用が給付されるケースがある。

 

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