自分が新社会人だったら知っておきたかったこと(社会保険編②「社会保険の全体像」)
(社会保険の全体像について)
A)労働者を守る法律、労働保険、社会保険の位置関係
+そもそも社会保険ってなんですか?
ウィキペディアによれば、こんな感じに定義されています。「社会保険制度(しゃかいほけんせいど、英語: Social insurance schemes)とは、社会保障の分野のひとつで、疾病、高齢化、失業、労働災害、介護などの事故(リスク)に備えて、事前に雇用者もしくは雇用主、あるいは両者が社会的供出をすることによって、保険によるカバーを受ける仕組みである」
これを読むと「リスク」って具体的に何なの?っていう疑問が出ると思う。
+社会人になるとどんなリスクがあるの?
ここでは社会人になって発生するリスクを大きく4つに分類して考るとわかりやすいと思う。そして、それぞれ発生するリスクと、それをカバーする法律を表と図に整理すると以下のようになるよ。
リスク | 業務上 | 業務外 |
会社内リスク | 労働基準法 | |
安全衛生法 | ||
失業リスク | 雇用保険 | |
病気怪我リスク (負傷、疾病、出産) |
労働災害保険 | 国民健康保険(自営業) 健康保険(サラリーパーソン) |
長生きリスク (老齢、障害、死亡) |
国民保険(自営業) 厚生年金保険(サラリーパーソン) |
まず最初に社会人になって発生するリスクとして「ブラック企業」に入ってしまうリスクが考えらるね。これを制度として守ってくれるのが「労働基準法」(例えばパワハラだったり、長時間労働だったり)であり、物理的な危害(例えば高所作業だったり、危険物を取り扱う作業)から守ってくれるのが「労働安全衛生法」と覚えておこう。
2番目に発生するリスクとしてはせっかく入った会社が何らかの形で倒産するか、もしくは解雇処分となってしまい職を失うリスクがあるよ。このリスクを担保する保険が雇用保険だね。これはイメージつきやすいかな?雇用保険はこれ以外にも安定雇用のための教育費用を補助してくれるシステムもありますので、これも覚えておくと良いでしょう。
3番目に発生するリスクとしてはリスクとして怪我や病気などが挙げられますが、これについては業務上発生した場合には労働災害保険法が、業務以外で発生した場合には健康保険法が適用されます。
労災保険については、そもそも会社は業務上で起こった怪我や病気については従業員に適切な補償をする義務を負っていますが「お金がない」と言う状況を避けるために保険に入ることを会社側に義務づけています。(従い、この保険に関する費用を従業員は払っていません。)
一方で健康保険については「病気になったけどお金ありません」と言う悲惨な状況を避けるために、日本では国民皆保険のお題目のもとに、あらゆる人をこの健康保険の網にかけるようなシステムを構築しています。(これがアメリカと少し違うところ。)
なお、新社会人になると保険会社の人から「病気になったとき大変ですよ」と医療保険を勧められる場合がありますが、すでに労災や健康保険でカバーされている部分を考慮したうえで、必要な部分だけ保険を買うことをおすすめします。
(これについては、こんな本も出ています。)
4番目の最後のリスクは、長生きリスクになります。
長生きをして配偶者や子供ができた場合、収入源であるあなたが死んでしまう事はリスクです。(独身でも死亡はリスクですが後に残すものがいなければお父さんお母さんにお葬式代ぐらい残せばいいだけでしょう。)この場合にも一定金額については国民年金や厚生年金でカバーされます。従い生命保険をかける場合には、この点を考慮すると良いでしょう。
さらに長生きを重ねてリタイヤした後の老後の生活保障についても国民年金よ厚生年金で基本的にはカバーされますが、昨今話題となっているように年金の不足分が予見されます。ただし、この試算については将来的な仮説によって金額が大きく振れるため、健康で長く働けるように自己を鍛えておくことが1番の保険ではないかと考えます。
次回以降は、リスク回避システムについて、それぞれの法律に基づき、もう少し詳細を見ていくことにしましょう。